さくBは折り紙を折っている

saku B is folding origami.

円領域と帯領域

第六回折り紙創作解説シリーズの動画が投稿されました。

 

以下、初期原稿です

木構造から展開図、展開図から基本形へ
これらを自由に行き来できたとき
あなたは創造主になる

こんにちは、さくBです。
今回は円領域や帯領域についてお話します。
まず、折りたい対象物を棒人間のように
木構造で表してみましょう。
関節を節点として、腕や足を線で表します。
この線のことを枝と呼びます。

実は、ロバート・J・ラングさんのTreeMakerを使えば
木構造から展開図を得ることができます。
そのアルゴリズムを解説するのは難しいので
この動画では逆に、
展開図から木構造を得る方法について考えていきましょう。

さて、ここに一枚の22.5度系の展開図を用意しました。
この展開図は全体として一値性を持ちます。
この展開図を折りたたんでできる基本形は
どんな木構造でしょうか。

それを求めるためには、円領域、帯領域の知識が必要です。
展開図上で折り線が一点に集まる部分はカドになります。
その点を中心とする小さな円を書きその円を少しずつ大きくすると、
どこかで円周と接する折り線があるはずです。
そのときの円の半径がカドの長さになります。
この円のことを円領域と呼び、
その半径と同じ長さのカドを確保するために必要な領域を意味しています。
では、円周が折り線と接する最小の円を
カドとなる部分に書き入れてみましょう。
円領域どうしが接している部分もあれば、
円領域と円領域が離れている部分もあります。
円領域が接している部分は、木構造で言うところの分岐に相当します。
カドが枝分かれする部分です。

さて、あるひとつの分子に着目してみましょう。
この分子だけを抜き出して考えると、
3個のカドができ、それらの円領域は互いに接します。
折りたたんだものを上から見るとYの字のようになっています。
ところがすでに書かれている円領域はもっと小さく、
互いに離れています。
カドの長さは隣接する分子の折り線によって変わってくるのです。
そして、小さな分子単体で見たときの円領域の円周は
木構造の節点と節点の距離に関係しています。
(節点とは分岐点のことです。)
今度は小さな分子ごとに円領域を書いてみましょう。
ただし、描く領域は分子の内部のみにします。

うねうねとした帯状の領域が現れました。
これを帯領域と言います。
帯領域は節点と節点の間の部分を表しています。
人間や動物で言うと胴体の部分です。
帯の幅が胴体の長さです。
実際に折り紙で折った基本形の胴体的な部分をはさみで切り取ると
このような形になります。
胴体部分には、展開図の帯領域部分が割り当てられていることがわかりました。

ここまでくれば、この展開図から木構造を得るのは簡単です。
円領域を外側の枝、帯領域を内側の枝とすれば
すぐに木構造を書くことができます。

これまでは22.5度系について見ていきましたが、
他の角度系や蛇腹でも基本的には同じことが言えます。
蛇腹の例も見てみましょう。
蛇腹のほうはもっと簡単です。
純粋で簡単な蛇腹作品の場合、
円領域は正方形ですし、帯領域も正方形の集まりです。
つまり、カドの長さや節点どうしの距離は整数になります。

グリッド上に円領域や帯領域を配置して蛇腹系作品を創作する方法を
横分子蛇腹法と呼ぶそうです。
横分子蛇腹法はカドの長さや位置関係を確実に決められる点で優れています。
一方で、円領域が正方形になっているので
紙の効率が悪くなりやすいという欠点があります。
ちなみに横分子蛇腹法では、
帯領域をぐねぐねと寄り道させることによって
不要な領域を埋めることができます。
詳しいことは「横分子蛇腹法」などと検索すると
昔、とある掲示板に書かれた
めぐろさんという方による解説の情報が得られます。

さて、今回は円領域、帯領域についてお話しました。
今後も視聴者さんからのリクエストによって
もしかしたら解説動画を投稿するかも知れません。
それではまた次回お会いしましょう。
おやすみなさい。