さくBは折り紙を折っている

saku B is folding origami.

3つの正八面体スケルトンの複合多面体

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正八面体スケルトンの複合です。
1:2の長方形が6枚、
1:1の正方形が12枚です。

黄色い立体と紫色の立体と水色の立体が
それぞれ同じ形状で
互いに交差しています。

複合でない単品の正八面体スケルトンは
45度や90度といったシンプルな角度のみから
なる立体です。

なので、これを複合にしても
そこまで複雑な角度にはならないだろう
と予想していました。

実際、簡単な比率の紙から
簡単な折りによって
基準点を出すことができました。

問題は強度と厚みで
点対称のみの対称性のユニットの場合
自然と渦を巻くように
ズレが重なっていきます。

一般的にこのタイプのズレは
問題になりにくい気がしているのですが、
このユニットの場合は
組んだユニットが崩れる
原因となってしまいました。

仕方なく上下左右対称も持つユニットにしました。

このせいで紙の比率が1:2になっています。

組み方の都合で紙に皺がよったりして
あまり綺麗に仕上がらないのが難点で
できるだけ皺が気にならない紙を使うといいと思います。

あ、あと高級コンデジ買いました。
動画撮影と作品写真撮影用に。

円領域と帯領域

第六回折り紙創作解説シリーズの動画が投稿されました。

 

以下、初期原稿です

木構造から展開図、展開図から基本形へ
これらを自由に行き来できたとき
あなたは創造主になる

こんにちは、さくBです。
今回は円領域や帯領域についてお話します。
まず、折りたい対象物を棒人間のように
木構造で表してみましょう。
関節を節点として、腕や足を線で表します。
この線のことを枝と呼びます。

実は、ロバート・J・ラングさんのTreeMakerを使えば
木構造から展開図を得ることができます。
そのアルゴリズムを解説するのは難しいので
この動画では逆に、
展開図から木構造を得る方法について考えていきましょう。

さて、ここに一枚の22.5度系の展開図を用意しました。
この展開図は全体として一値性を持ちます。
この展開図を折りたたんでできる基本形は
どんな木構造でしょうか。

それを求めるためには、円領域、帯領域の知識が必要です。
展開図上で折り線が一点に集まる部分はカドになります。
その点を中心とする小さな円を書きその円を少しずつ大きくすると、
どこかで円周と接する折り線があるはずです。
そのときの円の半径がカドの長さになります。
この円のことを円領域と呼び、
その半径と同じ長さのカドを確保するために必要な領域を意味しています。
では、円周が折り線と接する最小の円を
カドとなる部分に書き入れてみましょう。
円領域どうしが接している部分もあれば、
円領域と円領域が離れている部分もあります。
円領域が接している部分は、木構造で言うところの分岐に相当します。
カドが枝分かれする部分です。

さて、あるひとつの分子に着目してみましょう。
この分子だけを抜き出して考えると、
3個のカドができ、それらの円領域は互いに接します。
折りたたんだものを上から見るとYの字のようになっています。
ところがすでに書かれている円領域はもっと小さく、
互いに離れています。
カドの長さは隣接する分子の折り線によって変わってくるのです。
そして、小さな分子単体で見たときの円領域の円周は
木構造の節点と節点の距離に関係しています。
(節点とは分岐点のことです。)
今度は小さな分子ごとに円領域を書いてみましょう。
ただし、描く領域は分子の内部のみにします。

うねうねとした帯状の領域が現れました。
これを帯領域と言います。
帯領域は節点と節点の間の部分を表しています。
人間や動物で言うと胴体の部分です。
帯の幅が胴体の長さです。
実際に折り紙で折った基本形の胴体的な部分をはさみで切り取ると
このような形になります。
胴体部分には、展開図の帯領域部分が割り当てられていることがわかりました。

ここまでくれば、この展開図から木構造を得るのは簡単です。
円領域を外側の枝、帯領域を内側の枝とすれば
すぐに木構造を書くことができます。

これまでは22.5度系について見ていきましたが、
他の角度系や蛇腹でも基本的には同じことが言えます。
蛇腹の例も見てみましょう。
蛇腹のほうはもっと簡単です。
純粋で簡単な蛇腹作品の場合、
円領域は正方形ですし、帯領域も正方形の集まりです。
つまり、カドの長さや節点どうしの距離は整数になります。

グリッド上に円領域や帯領域を配置して蛇腹系作品を創作する方法を
横分子蛇腹法と呼ぶそうです。
横分子蛇腹法はカドの長さや位置関係を確実に決められる点で優れています。
一方で、円領域が正方形になっているので
紙の効率が悪くなりやすいという欠点があります。
ちなみに横分子蛇腹法では、
帯領域をぐねぐねと寄り道させることによって
不要な領域を埋めることができます。
詳しいことは「横分子蛇腹法」などと検索すると
昔、とある掲示板に書かれた
めぐろさんという方による解説の情報が得られます。

さて、今回は円領域、帯領域についてお話しました。
今後も視聴者さんからのリクエストによって
もしかしたら解説動画を投稿するかも知れません。
それではまた次回お会いしましょう。
おやすみなさい。

 

【折り紙】ナイト・フューリー【ヒックとドラゴン】

折り紙でヒックとドラゴンのナイト・フューリーを折りました。

不切正方形一枚折り、約30cmのカラペからです。

 

背景をグレーにすると

さっくのスマホでもそれなりにきれいに撮影できることに気が付きました。

 

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初手12等分ですが、かなりシンプルな展開図から折ります。

気になる方は動画を見てください。

 

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これは動画の編集画面なんですが、

動画の右上に小さく現在折っている工程を表示してみました。

 

折るのが早くてスキップしがちな方は

ここを見ると自分のペースで折れるかも知れません。

 

評判が良ければ続けます

(この動画編集を自動化するために

3日くらいプログラミングしてました)

 

折り紙分子|折り紙の創作ってどうやるの?

第4回折り紙創作解説動画

「折り紙分子」が投稿されました。

 

今回から、

「わざわざ動画見るのはめんどくさいなあ」

という方向けに、ブログに原稿を載せたいと思います。 

 

編集中に原稿の内容が変わることもあるため、

動画とは微妙に異なる可能性があります。

 

 

以下、原稿

 

この世界がたくさんの分子によって作られているように、
折り紙もまたたくさんの分子によって作られている。
折り紙分子を組み合わせれば、
思いのままに世界を作り出すことができるかも知れない。

こんにちは、さくBです。
今回は折り紙分子についてお話しします。

折り紙の創作で折り紙分子を直接使う機会は少ないかも知れませんが、
展開図にはよく現れるので、
知っておくと構造の理解に役立つと思います。

さて、折り紙分子を定義する前に、
折り紙原子について説明しましょう。

折り紙原子とは、展開図上に現れる多角形のうち、
内部に折り線を持たないものを指します。
ここで、折り線とは山折りと谷折りのことです。
つまり、展開図を折りたたんだ後の平らな面です。
例えば、赤線で囲った部分は折り紙原子ですが、
青線で囲った部分は折り紙原子ではありません。
青線で囲った部分の内部には折り線が含まれているからです。
折り紙原子の辺は紙のフチまたは折り線からなります。
基本的には凸多角形になります。

折り紙分子の定義の仕方は色々あるかもしれませんが、
ここでは、「複数個のひとつながりの折り紙原子の集まり」とします。
折り紙原子同士が離れていてはいけません。

折り紙分子は、
平坦に畳んだときのフチの位置関係によって
一値性、ニ値性、多値性などに分けられます。
一値性とは、折り紙分子を平坦に畳んだとき、
分子の外周が同一直線上に乗ることを指します。
ニ値性とは、折り紙分子を平坦に畳んだとき、
分子の外周が2つの直線上に乗ることを指します。
3つ以上の場合は多値性と呼びます。

一値分子として有名なものに、
直角二等辺三角形分子、長方形分子、
切り出しナイフ型分子、ブーツ型分子、
凧型分子などがあります。

ニ値分子として有名なものに、Y字分子があります。

さて、何故このようなことを考えるかというと、
一値分子同士を辺でつないでできる分子もやっぱり一値性を持つからです。
例えば、2つの直角二等辺三角形分子をくっつけた分子も、
やはり一値性を持っていますし、
鶴の基本形も4つの直角二等辺三角形分子からできています。
このことから分子をペタペタと並べていくことによって
折り紙の創作ができそうだということがわかります。

実際に適当に折り紙一値分子を並べて展開図を作ってみました。
これを折りたたむと、確かにフチが一直線上にありますし、
ここから折り進めて何かができるかも知れません。

これまでは22.5度系の折り紙分子について見てきましたが
実は、どんな角度の三角形もつまみ折りをすることで
一値性を持つように折りたためるという事実があります。
三角形の各頂点の角の二等分線は一点で交わります。
この点は内接円の中心と一致することから、内心と呼ばれます。
内心と各頂点を結び、
内心から1つの辺に垂線を下ろすと
これらの線で一値性を持つようにたたむことができます。


また、四角形や五角形についても、
いくつかの三角形に分割することができるので
やはり一値性を持つように折りたたむことができます。
よって任意の多角形は一致性を持つように折りたたむことができます。

これらのことから、折り紙をいくつかの三角形に分割することで、
一値性を持つ基本形を作り出すことができます。
試しに展開図を作ってみました。
これを折りたたむと、このようになりました。
ここから何かの作品に折り上げることができるかも知れません。

今度は蛇腹系の創作に関連のある話をしましょう。
各辺の長さが自然数である直角三角形のことをピタゴラスの三角形と言います。
例えば、3辺の長さが3,4,5や
5,12,13である三角形はピタゴラスの三角形です。
図のようにピタゴラスの三角形の各頂点が格子点上に乗っていて、
2辺がそれぞれx軸、y軸と平行なとき、
内心は格子点上に乗ることが知られていて、
三角形の面積を考えることで示す事ができます。
これは、ピタゴラスの三角形をつまみ折りによって一値分子としたとき、
カドの長さが全て整数になることを意味しています。
カドの長さのコントロールが重要になる蛇腹系作品の創作では便利な性質です。
ちなみに折り紙作品の展開図でこの性質を利用した部分のことを
神谷パターンと呼んだりします。
この性質の証明については、別の動画でやることにします。

今回は折り紙分子についてお話しました。
折り紙分子による設計は紙効率が悪くなりがちで
あまり実用性はないかも知れませんが、
展開図折りをするときなどは役に立ちます。
さあ、そろそろ眠たくなってきました。
また次回お会いしましょう。
それではおやすみなさい。

ゲンガーの折り方動画の改良版を投稿しました

ゲンガーの折り方の改良版を投稿しました。

 

以前の動画では難しい沈め折りの工程があり、

そこで視聴をやめてしまう人がいたようです。

 

なので、今回は難しい沈め折りの工程を避けた手順で

チュートリアルを作りました。

 

ステップごとに動画を止めて、

折り線や矢印を挿入しているので

以前よりも見やすいと思います。

 

 

【ユニット折り紙】イコシミノ【30枚折り】

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「イコシミノ」

特殊な比率の長方形30枚折りです。

名前の由来は一様多面体の一種

小二重三角二十・十二面体

の英語名 Small ditrigonal icosidodecahedron

の "icosi" の部分とミノムシの「ミノ」をあわせました。

 

ちなみに

icosidodecahedron

 は二十・十二面体のことなので

命名規則としては微妙かも知れません。

 

というか一様多面体の命名規則が複雑だし

重複部分も多いので仕方ないですね。

 

ちなみに

小二重三角二十・十二面体

の辺の数は60ですが、

図の青線部分をひとつのユニットとしているので

30枚組になっています。

(図はwikipediaから引用)

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作り方の動画はこちら

 

 

正方形1枚から2ピースしか取ってませんが、

工夫すれば3ピース取れるので

気になる人は工夫してください